君は「モホMEN」を見たか

 スクール水着でコミカルな動きをして笑いを呼ぶ 謎の集団が沖縄国際大にいる。沖国大祭では そのショー見たさに人垣ができるほどの大人気だ。  人呼んで「モホMEN」。しかし、「何者なんだ?」 「沖国大生ではないのではないか」などなど、 数々の噂が出回っている。そこで沖縄王では その素性と魅力にぐぐっと迫ってみた。(沖縄王・日高昭子)

 まずは写真を見てほしい。11月下旬に開かれた 沖国大祭でモホMENが演技を繰り広げている様子である。 この時期、夜ともなれば沖縄でも少し肌寒い。 しかし、モホMENはスクール水着一丁である。

 なぜ水着姿なのか? 現在の2代目リーダー・ 我那覇宗敬さんが重々しく明かす。 「裸一貫で愛を伝えるんです」と。 実はこの水着は普天間高指定のものである。 初代リーダー・神里常仁(かみさと・つねひと)さんが 普天間高出身だったことから、これを使っているのだ。

   結成は1997年にさかのぼる。 普天間高は体育祭や行事の後に行われる後夜祭がとても盛んな学校だ。その楽し さと面白さを踏まえて、大学ならではの質の高いパフォーマンスを披露したいと 神里さんは思い、仲間を集めて立ち上がる。

 モホMENの意味を尋ねたところ、 意外な答えが返ってきた。「モホロビッチ不連続面」(忘れているあなた、やば いです。高校の地学の教科書を見てみましょう)をもじって 「モホロビちっち不連続MEN」と名づけたのである。 周りのお客さんが略して「モホMEN」と呼ぶようになったので、今ではこれが定 着している。

 彼らの芸人意識は徹底している。 完成度の高いアクロバットや 数々の笑いの要素を盛り込んだショーをつくるために、 かなりの下準備をしている。ほぼ1年かけていると言っても いいだろう。使う音楽を探し、コミカルな動作を考え、 沖国大祭の3ヶ月前から本格的に練習を始める。

 沖国大祭に向けての練習は週に3回〜4回、 11月に入ると週に4回以上になる。 練習場所は極秘であるとして、教えてもらえなかった。 でも、午後11時ごろから明け方までの時間帯に 練習するそうだ。

 練習場所は秘密だ。 完成されたものを見せて喜んでもらうのがプロであり、 その過程は見せるべきではないということだ。

 彼らは「常に新しいもの」を心がけている。 パフォーマンスには常に新しさを取り入れるので、 情報には敏感だ。ラジオや音楽番組をチェックし、 ショーに使える曲をストックしている。 選曲のポイントは「聞いたらすぐにイメージが浮かぶもの」だ。 クスッと笑えるレトロな曲を集めるセンスは抜群だ。

 人の動作を観察して面白い動きがあれば これもチェックする。こうして、選んだ曲をもとに、 観客を楽しませる振り付けを考え出してゆく。 そのために議論を重ねることを惜しまない。

 彼らはモホMENであることを日々意識しながら 生活しているのである。

 モホMENは言う。「去年よりショーの質が落ちるのなら、 やらないほうがいい」と。5年もモホMENとして パフォーマンスをしてくると、沖国大祭の名物としての 地位を確立しつつある。しかしそのような雰囲気は 本意ではない。我那覇さんが「伝統より伝説」といとも 簡単に喝破した。質が衰えれば、 消え去る覚悟を秘めている。 この潔さを胸に、背水の陣で芸を磨く。

 さて、気になるのは、 個性派揃いのメンバーだ。メンバー集めはどの ように実施しているのか。ただ単に面白い人や裸になって 踊れる人がメンバーになれるのではない。 「モホ臭」の漂う人だけがメンバーに選ばれる。 さらに詳しく説明すると、「なんとなく周りに溶け込めていない人、みんなから 浮いている人、つまり個性のある人」だ。 つまり何らかのオーラがある人のことを指している。 そんな“濃い”メンバーがモホMENなのである。

 モホMENを支えるスタッフがいる。 音響や照明などを担当するスタッフが今年は18人ほどいる。 スタッフも含めて「ファミリー」と呼ぶ。みんなモホMENが 大好きでとても仲が良い。信頼し合える仲間がいてこそ モホMENのショーはよりいっそう観客を魅了するのだ。

 文字どおり、メンバーの家族も「ファミリー」と言っていいだろう。 モホMENの家族は沖国大祭に駆けつけ、晴れ舞台を応援するのだ。 我那覇さんの父親は「おおぜいの人の前で裸になってあれだけのことが できるのだから、 これからどんなことでもやっていける」と太鼓判を押したとい う。

 モホMENの舞台は沖国大祭が中心だが、 過去には世界エイズデーや年末カウントダウンといった イベントに参加し、ショーを披露している。 おおぜいの観客がいればいるほど燃えるのがモホMENなのである。

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