店の外観。手書きの看板が温かく迎えてくれる


よもぎそば。ほのかにフーチバーの香りがする。 苦さは気にならない程度


イラブチャーそば。唐揚げにしたイラブチャーと自家製麺の相性が実にいい!


住所:読谷村喜名473
地図
電話:098-958-3989
営業時間:火〜金曜日 午前10時〜午後3時
      土日祝祭日 午前10時〜午後8時
定休日:月曜日
駐車場:ある




ヘルシーな自家製麺を味わえるそば屋「番所亭」

 読谷村喜名は沖縄本島中部に位置する。 琉球王府時代は番所が置かれ、中南部と北部の玄関口として 多くの人でにぎわった。徒歩による「旅」の途中、多くの人がこの地で足を止 め、一休みしたのだ。時を経た現在でも、中南部と北部を結ぶドライブの 中間地点としてここで一息入れる人は多い。そんな方々にお薦め したいのが今回紹介するそば屋、その名も「番所亭」(ばんじゅてい)だ。 夫の喜友名正雄さんと共にお店を切り盛りしているスエさんは 「番所のそばのおそば屋さんと覚えてね」と笑顔で話す。

 そばの麺はどれも愛情がたっぷり注がれた自家製麺だ。 店内には「生麺を使用しています。注文をお受けしてから麺をゆがきます。 少々時間がかかりますがご了承ください」という張り紙がある。 うぅ〜ん、ますます食欲がそそられる。スエさんとのユンタクを楽しんでいる と、待ち時間はそれほど気にならない。

 登場してきたそばの麺は柔らかなクリーム色をしている。 「ウッチン(うこん)とウコッケイの卵が麺に練りこまれている」とのことだ。 「道理で」と納得しながら、口にする。麺にはコシがある。 コシがあるのに、のど越しがとても良い。 「粉っぽくないところが番所亭の麺の魅力」と語る常連さんもいる。 鳥だしとこんぶ、かつおで仕上げられたスープは体に優しく染み込んでゆく。 かつおは血合い抜きのものだけを使っている。値が張るので、 「採算がとれないのでは」と心配する人がいるそうだ。 化学調味料は一切使われていない。 スエさんは「化学調味料の味に慣れている人は物足りないと 思うかもしれません」と語る。しかし、夫妻がたどりついたこだわりの味は、 まさしく健康食そのものだ。ヘルシー志向の女性や高血圧など健康を 気遣う人が店をよく訪れるという。

 メニューを見ると、実にユニークだ。私のようにフーチバー(よもぎ)に 目がない人には「よもぎそば」がお薦めだ。麺によもぎが練りこまれていて、 きれいなモスグリーンをしている。よもぎ特有の苦味はあまり気にならないが、 麺をほお張ると口の中はフーチバーの香りでいっぱいになる。シアワセだなぁ。 よもぎやネギなどは喜友名さんの畑で作ったものを使っている。 「台風で野菜がダメになった時は買ってきますけどね」と明るく話すスエさんは 実に正直な方だ。

   そのスエさんは大の魚好きで、「イラブチャーそば」を新メニューに 登場させた。沖縄そばといえば、麺の上にソーキやテビチなどの豚肉が載ってい るのが定番だが、この新メニューは唐揚げにしたイラブチャーが載っかってい る。 外はカリッとしていて中はふっくら、身が引き締まっていて、脂っこくない。 「お肉にしますか。それともお魚?」という選択が「番所亭」では可能なのだ。 魚好きには朗報である。

 店長の正雄さんのお薦めは何と言っても「フェーレーそば」だ。 自家製麺にソーキ・テビチ・三枚肉・野菜・かまぼこが載っかっている ボリュームたっぷりのそばだ。フェーレーとは「山賊」の意味である。 店のある読谷村喜名から数キロ北上すると、 多幸山(たこうやま)という場所がある。その昔、多幸山は真昼でも薄暗いほど 木々が生い茂っており、「フェーレーの出る場所」として人々から 恐れられていた。フェーレーのように豪快にボリュームあるそばを平らげてしま う自信のある方、試してみる価値アリですよ。(S)

<メニュー>

フェーレーそば 750円
よもぎそば 650円
ゴーヤー冷し麺(夏期限定) 650円
イラブチャーそば 650円
ソーキそば 600円
てびちそば 600円
ジューシー・そばセット 600円
そば 500円
※大盛りはプラス50円
お子様そば 300円
ジューシー  150円
ごはん 100円
オリオンビール(中瓶) 450円




©2001, 有限会社沖縄王