“話題”の名護自然動植物公園で見たもの

 資本金の50%を名護市が出資している「名護自然 動植物公園」に行ってみた。人と動物が触れ合えるのが ここの売りである。

 実際、通路をクジャクなどが歩いていたりする(写真1枚目参照)ので、 私のような動物好きにはたまらない。 200円のエサ(パンくず)を買い、 手のひらに載せて差し出すと、寄って来る。 動物を柵や檻に入れて人と隔離する動物園の形態が 非常に多いだけに、「触れ合える」のは 楽しい。

 馬や山羊に食べさせるために、ビニール袋にキャベツを詰めて 持ってきている人がいた。持ち込み可とは思えないが、 用意のよさに感心してしまった。小澤征爾さんに似た馬が いた(写真2枚目参照)ので、ヒヒヒンと笑ってしまった。

 300円の追加料金を払うと、 ゾウガメに乗ることができる施設がある。興味津々で 300円払う。4匹のカメを子供たちが占領しているので、空くまで 辛抱強く待つ。その甲斐あって、何とか制覇した(写真3枚目参照)。 さすがに少々恥ずかしい。浦島太郎が乗ったカメはこんなやつ だったのだろうか。乗ってみて気づくのは、座り心地がよくない ということだ。不安定で、滑りやすい。浦島さんが海中の竜宮城に 行ったとしたら、カメのどこかにしがみついたはずである。あるいは 手綱でもつけたのかもしれない。そうでもしないと、 水の抵抗に遭い、海中で振り落とされるのは間違いない。 子供たちがはしゃいでいる中、勇気を奮ってカメに 乗ったからこそ気づいた素朴な疑問である。

 このゾウガメは、夕方になると片隅に集まってしまうそうだ。 確かに、私が入ったのは夕方で、隅っこに集まってしまって なかなか動かなかった。ご覧のように大きい(すなわち重い)ので、 人の手で動かすことはできない。入り口で木の枝をくれるから、 馬の目の前に吊るすニンジンのようにカメの目の前で操って 動かすしかない。乗りたい人は夕方より早めに 行くのがいいようだ。カメの立場で考えれば、 夕方までに人間が入れ替わり立ち代りやってきて 勝手に背中に乗るのだから、夕方には疲労がたまるの かもしれない。

 ここは経営が苦しい。従業員への解雇を決めたり、 撤回したりと忙しい。台所事情はお察しするけれど、 改善すべき点はいくつもあった。

 第1は動物の説明板が非常に貧弱 なことだ。目の前の動物が何なのか分からない。

 第2はやる気のなさや荒廃を感じてしまうことが 何度もあった点だ、例えば、園内の随所にあるエサ箱を 空のまま、壊れたままで放置している(写真4枚目参照)。 エサを買う際は、エサ箱の横にある 金属製の小箱に自分でお金を入れるという 自己申告制になっている。 農産物の無人売り場と同じだ。性善説に立つ仕組みなのか 人手不足が原因なのかは私にはどっちでもいい。 重要なのは、手入れをしないままで入場者を受け入れる 経営者と従業員の士気の低さを県民が認めるかどうかだ。 少なくとも私は認めない。サボテンらしい植物が 枯れている(写真5枚目参照)のを見ると、笑わざるを得ない。

 公園の外の広場では、オランウータンの人形2匹が先頭に いる乗り物(写真6枚目参照)がある。見てみたところ、5分か10分くらい その辺を走るだけである。それでいて3歳以上は300円かかる。 小学生の入場料は210円だから、それよりも価格が高い。 公園のオマケなのだから、入園料より安くしたほうが均衡がとれる と私は思うけれどなぁ。

 いい素材があるのに、それを十分に発揮させていない印象が 強く残った。社長の岸本建男名護市長も従業員も、 もっと愛情を注いだほうがいい。 たくさんある改善の余地に、経営を 向上させる知恵が隠れていると私は思う。(沖縄王・西野浩史)





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