4級小型船舶操縦士に挑戦!<後編>

 学科講習からあっという間に2週間が経ち、 2月24日(日)学科試験の日を迎えた。免許取得を目指す 私の連れは、2日前に「沖縄マリン」へ受験票を取りに行き、 それを持って試験会場である那覇市・泊港の 沖縄船員会館へ行く。

 午前9時、まず身体検査が行われた。 といっても1人1分もかからない簡単なものだ。 学科講習を受けるのに必要だった予備検査から 今日までの体調を聞かれ、予備身体検査証の視力を確認される。 裸眼で視力0.6以上の場合は一種合格、0.5以下は二種合格となる。一種は再試験 になった場合でも1年間は身体検査が免除となり、 二種は3ヶ月間免除となる。

 学科試験は午前10時に始まった。 受験者数は40人くらいだ。 A4サイズ6ページ分の問題用紙が配られる。 試験時間は1時間半、解答はマークシート方式で 4つの選択肢の中から1つを選ぶ。

 問題は全部で50問あり、 「一般常識」から「法規」まで教本に沿って出題される。 それぞれ何問ずつ出題されるかは教本にあらかじめ 書かれている。

 「航海」(10問)や「運用」(15問)はけっこう難しかった。 逆に覚えることが多くて大変だった「法規」(15問)は 意外とスムーズに解答できた。

 帰宅後、彼は持って帰ってきた問題用紙と教本で 答え合わせをする。間違えた問題を発見するたびに 落ち込む。試験結果は沖縄マリンに翌日問い合わせる ことになっている。受付の人に 「学科で落ちる人はほとんどいない」と言われた。 ますますプレッシャーだ。自信がない。

 ところが結果は合格だった。心底ほっとする。

 その2日後、2月27日(水)に早くも実技講習が行われた。 午後から会社を早退して沖縄マリンへ向かう。

 湾内で実際の試験内容に基づいた講習が始まった。 教本や発声要領例の書かれたプリントに沿って進められる。 発声要領というのは船体や備品、機関の点検時に 「船首よし! 右舷よし!」など大きな声で指差し確認し、 操船時も「発進します」「前後左右よし」と声を出す。 常にテキパキと行動しなければならない。

 ボートに乗り、エンジンのかけ方から発進、直進、 停止など操船を学ぶ。クルマの運転と似ていて分かりやすい。 試験は他に口頭試問がある。乗船中、試験官からさまざまな 問題が出されるのだ。どんな質問をされるか、その要点も教わった。口頭試問は 非常に重要だという。

 実技講習はこの半日で終わりだ。 週末の3月3日(日)に実技試験を受けることになった。 それまでは教本やプリントで口頭試問を覚え、 発声やロープワークを繰り返し練習した。

 朝からどんよりした空模様の日曜、 試験開始の午前8時半までに泡瀬にある沖縄マリーナへ向かった。レストラン 「サムズバイザシー」のすぐ裏側だ。

 駐車場で待っていると、「受験者は2階へ集合」と 声がかかった。

 試験に関する説明が行われ、十数名の受験者は3名ずつのグループに分けられ た。

 午前8時50分開始のグループになった。 3人一組で試験用ボート前に集合する。

 試験官の指示に従い、発航前の点検、 ロープワーク、ハンドコンパスでの目標物方位測定を順番に行う。 発進後沖へ出てからも順番に操船し、 試験官の質問に答えてゆく。

 直進や減速、蛇行などの操船はスムーズに出来たのだが、 その間の口頭試問にはてこずった。覚えている問題に限って 他の人に当たり、自分の時にはわからない問題が回って きたりする。答えられない問題がいくつかあった。 他の2人は完璧だったような気がする。

 講習で学んだことは、ほぼそのまま出題されていた。 やはり講習内容はきっちりと覚えておくべきだ。

 約1時間の試験を終えると、後悔ばかりが残った。 合格基準は300点満点中210点以上だ。 そんなに出来たとは思えない。結果は3月7日の木曜に 分かる。しかし、すでに次の試験日をいつにするかということ ばかりを考えていた。再度試験を受けるとなると1万9000円かかる。 これはイタい……。

 合格発表の木曜がやってきた。 沖縄マリンに電話をして確認することになっている。

 しかし怖くてなかなか聞けない。夜帰宅してから ようやく意を決して電話をかける。

 受験番号と名前を告げ、しばらく待つ。 すると「合格です」との答え。「うそ! え、間違いじゃなくて? 本当ですか !?」と思わず叫ぶ。信じられない。でも良かった。 曇っていた気分が一気に晴れる。

 翌日、3月7日交付の4級小型船舶操縦士免許証を手にした。 考えてみれば非常に短期間で取得できた。 もちろんある程度勉強時間は費やさなければならないが、 心配するほど大変な内容ではなかった。 車の免許より難しいと感じることもあったが、やは り挑戦してみないと分からないものだ。

 これで今年の夏は念願のジェットスキーで 沖縄の海を自由に楽しめるだろう。マリンスポーツの幅を広げ、 今まで以上に休日は海へ出かけたいと思う。 (沖縄王・伊藤珠央)






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