ヌーファの浜を見下ろす


 ここで寝る


 朝と昼のご飯はここで食べた


問い合わせ先・・・「エコネット美(ちゅら)」
住所:名護市瀬嵩79
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名護市嘉陽の海と山で遊び学ぶ「じんぶん学校」

 「じんぶん学校」は“自然”を体験したい人にぴったりの内容だ。 8月下旬、私は子供3人を連れて1泊コースに参加した。

 私は学生時代に山歩きはしていたものの、 “自然”と接する機会はずいぶん長い間ない。 山ならまだしも、私の不慣れな「海」だから、安易ではあるが、 ツアーに乗っかるほうが安心できる。というわけで、 1人あたり1万円(子供も同じ金額)を払って参加したのだ。

 まず、「じんぶん学校」があるヌーファの浜にたどり着くために、 山道を15分ほど歩かなければならない。山道と言ってもきちんと 手入れされた道し、スタッフが一緒だから、時間をかければ 幼児でも大丈夫だと思う。

 ここでは、リゾートホテルのように浜辺で寝そべっているわけにはいかない。 マキ割りやかまどへの火起こし、ゆしどうふ作り、 海で捕ってきたばかりのウニの調理、食卓の用意などを 自主的に手伝うのが面白い。

 子供だって例外ではない。小6の長男はマキ割りをしながら、 注意点やうまく割るコツを教わっている。 マキ割りをする機会は激減した。それだけに珍しさがあるのだろう、長男は喜々 としてやっている。私も挑戦した。この作業を毎日するとなると大変だと痛感す る。ガスや電気で火をつけることができる便利な時代に生まれてよかった。

 長男は次に「かまどに火をつけて」とスタッフから求められる。 悪戦苦闘してようやく火をつけたら、今度は「薪はかまどの手前に置かないと、 火が全体に回らない」と言われている。こうして実践的な知恵が伝授される。

 昼食後、天気がよければ、シュノーケリングで海に出る。 救命胴衣を着るので泳げなくても心配ない。魚の群れや海蛇、 海底の様子、サンゴの状態など、通常の生活では見られない光景を自分の目で見 ることができる。モーターボートがロープで引っ張るサーフボードに子供たちは 何度も乗せてもらい、ご機嫌である。これに似た遊び(バナナボートなどの名称 でやっている)をリゾートホテルで楽しむと、時間制限がある上に1万円前後の 費用がかかる。バナナボートとサーフボードの違いはあるが、面白さの差はな い。

 海でスタッフが捕ったばかりのウニの調理が浜辺で始まる。スタッフが見本を 示す。切り開いた際には「この液体に触ったらかゆくなるから気をつけろ」と注 意点が言い渡される。長男は包丁を2つもらい、調子よくやっている。ところが 気が緩んだのだろう、手がすべり、ウニのトゲを右手親指に5〜6本刺してしま う。医者に行き、切開治療を受けるまでの数日間、長男はウニのトゲの痛みを味 わう羽目になる。でも、この程度の失敗なら貴重な経験になると私は思う。
 ウニを切り開き、例の黄色い部分を取り出すまでに、案外手間暇がかかること を私は初めて知った。だからウニは高価なのかと合点がゆく。

   夕食は浜辺で摂る。食卓とイスをみんなで浜辺に運び出す。 暗くなってきた。電気は通っていない。ランプの火が頼りだ。 さっき調理したウニを皿に並べて、みんなで回す。みんな慎み深 いようで、20人ほどの人数なのに、ウニ皿は2順した。

 電気がないから、日没後は暗い。でも浜辺に出ると、 山陰と空の違いが分かる程度の明るさは残っている。 浜辺に出ると、携帯電話はよく通じる。

 宿泊場所は高床式の建物で、雑魚寝だ。 風が通ってけっこう涼しい。配布されたシートの上に横になり、 シーツにくるまるとちょうどいい。

 朝。近くの滝に案内してもらう。ここの水は1年中枯れないそうだ。「じんぶ ん学校」が使う水はここから引いている。 名護市水道局の検査済みだそうだ。 水着になった子供たちは滝壷で遊び出す。いいなぁ。

 あっという間に24時間が過ぎる。帰りはもっぱら登り道だ。 汗が噴き出る。スタッフは上半身裸になって、 帰り道を案内してくれた。

 “自然”を脱し、近くの売店で缶入りのさんぴん茶を買う。 よく冷えている。さすが冷蔵庫の中に入っていただけのことはある。“自然”の 中で暮らすのはそう簡単なことではないという当たり前のことを再認識した。
 一方、子供たちは「もっといたかった」とお気に入りの様子だ。 私のように“自然”が得意でない親にとっては、 ありがたい場である。






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