食べられるものに関してはオバちゃん、オバアちゃんたちはおそろしく詳しい。そしてよく歩く


 干潟歩きのオバちゃんスタイル。日焼けもウニもこわくない


 砂中に住む生きものたちの掘り出した砂ダンゴでいっぱい


 ワシワシ歩くとアーサが足に。手を使わず収穫?!


 産みつけられて間もない卵とウミウシ君。体長1cmほど

今泉真也と行くワッター自然
第3回 海を歩いてきました


 泡瀬干潟(→地図)に行ってきました。混雑する日曜を外した4月の大潮の日、ちょうど干潮がご飯ドキなので、お弁当に手作りサンドイッチを用意してリュックに入れ、まずまずの天気の中、海へと向かいます。ずっと暗い森の小さな世界に焦点を合わせていた目が、光のあふれた、広い、風の渡る世界に戸惑っているのがわかります。でも潮風の抜ける海辺の気持ちのいいこと!

 持ってきた干潟ファッションにさっそく身を包んで、出発です。相棒は日焼けを考えて長袖長ズボンですが、僕は久しぶりの散策にウキウキしてTシャツ海パンにしてしまいました。今や10時から14時あたりの紫外線は非常に高確率でガンを引き起こす強さになっているとのこと。自殺行為ではありますが、それでもいいやア! と思ってしまうほど、気分のいい昼下がりでした。

 今回は干(ひ)いている時間もそう長くはないのに、はるか沖合に人影がちらほら見えます。沖とはいってもそこは陸地になっているのです。普段は歩けないところをどんどん行ける感覚が、なんともワクワクします。足下には緑の海苔の仲間アーサがびっしりと覆い尽くしていて、口にしてみてもひと月前のような繊細な歯触りはもうありませんが、歩くたびにブワッブワッと沈み込むのが何だか雲の上を歩いているようで、またまた楽しいのです。

 向こうからオバさん3人組が日焼け防止の完全装備で帰ってきました。もうすでにブクブクと泡を立てながら満ちてきている潮に追われながら歩いてきます。この泡が干潟の生きている証とでもいうもので、砂の中に生きものが住んで耕しているために、中に含まれた空気がまた海中に溶け込み、酸素の豊富な浅海を造りだしているわけです。オバさんたちは片手にバケツ、片手にヤス(モリ)という正統派スタイルで、怪しいと思われる所々を突きながら探しています。下に貝が潜っていれば、たまらずにピュッと水を噴き出すのでわかるのです。貝もじっとしていれば捕まらずにすむのに、ついびっくりして殻に閉じ込もってしまうのです。鳥と同じような手を使うんだなあ、と思いました。鳥はクチバシと足を使って同じように魚やカニ、貝を捕まえます。

 こうして沢山のヒトや鳥がいくら潮干狩りを楽しもうと、干潟は水が健康であればまた無数の生命を生み出し、恵んでくれます。干潟という環境は海の中でも希少な、特殊な条件のもとにできたものですが、それよりもまず僕たちが歩いて楽しく、感動し、学べ、糧もいただいてきた場所だということ。それがなによりも価値があると思うのです。この干潟の埋め立て計画に反対する署名10060名分が5月2日、県に提出されました。作るものはリゾート施設などですが、皆さん、ホテルの人工ビーチを離れ、ぜひ一度自然の干潟を歩いてみてください。きっと干潟ファッションのトリコになること請け合いです!
今泉メモ
・服装などは写真を参照のこと
・1人1個はバケツを持ってゆくと、弁当を食べる時に腰かけたり、獲物を 入れたりできる。ビニル袋もあるとよい
・釣りは、かなり沖のリーフエッジ辺りまで行けば、時おり大物がくるが、 今回は「散策」なので、別の機会に
・泡瀬干潟はとても広いので、干潮の時によく見える。好きなポイントを 歩こう。散歩にルールはない。ただし、もちろん沖へ歩くと帰りは大変。 海につかることも考えに入れること。潮の満ちる速さはまず自分で一度 体験してみるのがおすすめ。話で聞いても実感できないので・・・。 ・地元の方とのあいさつを忘れずに




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