絶景100景--第8景

 「エイッ! エイッ!」。力強くもかわいいかけ声が聞こえてくる。 沖縄市美里の旧・美里公民館からだ。

 昔ながらの瓦ぶきの建物の、通りに面している側の扉を 開け放ってある。そこで子供たちが空手の練習をしている姿が 私の目に飛び込んできた。沖縄らしい光景だ。練習中を お邪魔した。

 子供たちに空手を教えているのは全沖縄空手道連盟副会長で 剛柔流「誠道館」館長の知念正常(ちねん・まさつね)さんである。 突然の訪問にもかかわらず、 笑顔で「いいよ。後ろで練習を見ていきなさい」と 快く受け入れてくれた。

 約1時間の準備運動後、本格的な稽古に入った。 稽古をしている子供たちの顔は生き生きとして楽しそうだ。 子供の生徒は5歳から13歳までの36人だ。今回は1人しか 見かけなかったが、大人が4、5人いるそうだ。

 生徒たちのほとんどは美里に住んでいる。 だからか、誠道館は美里自治会の援助で運営されている。 「空手をやってきた者として、沖縄文化を伝える義務がある」と いう信念を持つ知念さんはボランティアで子供たちに 教えているのだ。

 稽古の合間に知念氏は沖縄空手について 熱く語ってくれた。沖縄空手の歴史の長さと奥深さを 私も誇りに思った。世界に誇ることのできる沖縄空手を 身に付けようとしている子供たちが少し羨ましくなった。

 誠道館の練習は毎週水・土曜の午後6時から8時まで。 関心のある人は直接行ってみよう。(沖縄王・比嘉直美)






©2002, 有限会社沖縄王