王が答える
第4回 「恐怖の食事」?!


 福島県出身の転勤族で30歳です。那覇市内の同僚の家に遊びに行くと、いつも たくさんのご馳走が出されます。「さぁ食べなさい」と勧められるうえ、残して はいけないと思い、無理をしても食べていますが、おなかがいっぱいで苦しくな ることがあります。どうすればいいでしょうか。

 簡単なことじゃ、残せばよい。残さずに食べるから、「この人はおなかがすい ているに違いない」と思われるのじゃ。だから遠慮なく残そう。

 ワシも同じような経験がある。1987年2月ごろから2年少々沖縄で暮らしておっ た時のことじゃ。宜野湾市内に「なごみ食堂」という大衆食堂があった。古い建 物だったが、この店のおばぁが作る料理は絶品じゃった。毎晩通ったもんじゃ。 そのうち顔見知りになり、ワシが本土から来ていることをおばぁが知って以降、 おかずの量が増えたり、刺身などを余計にサービスしてくれたりするようになっ た。ワシは喜んで食べる。すると、これを上回る量が次回から出てくる。おばぁ の厚意がうれしいもんじゃから、ワシは少しくらい無理をしても食べる。そうす ると、その次からさらに量が増えたのじゃ。

 そのうち、飯を食べに行くのが怖くなってきた。どう考えても食べ切れない量 が出てくるんじゃから。自慢するわけではないが、脂汗を浮かべて最後まで食べ たことが何度もある。

 もう1つ実話があるぞ。南風原町に住む義兄夫妻の家に先日寄った時のこと じゃ。「おなかすいてるんじゃないの。はい、これ食べなさい」と、お皿いっぱ いに盛られた三枚肉を出してくれた。ワシは本土で生まれ育ち、「いったん箸を つけたら残さず食べなさい」というしつけを親から受けた者じゃ。1枚食べたが 最後、全部食わなければならなくなると思い、箸をつけなかった。でも義兄は 「はいはい食べなさい」と勧めてくれる。食うしかない状況じゃ。覚悟を決めて 全部食った。20〜30枚盛られていた三枚肉をぜ〜んぶ平らげたのじゃ。なごみ食 堂が脳裏を去来したぞ。

 沖縄では天ぷらや野菜いためなどを皿に山盛りにして出す家庭がある。中華料 理と同じじゃな。中華料理の皿を独り占めしたら怒られるじゃろう。にもかかわ らず、ワシは全部食った。空になった皿を見て義兄夫妻は言ったそうじゃ。 「でーじやっさー」
 


 写真は、王が義父宅でいただいたある日の晩飯。 山盛りのごはんにゴーヤーチャンプルー、沖縄そば、アイスコーヒー、そして 鹿児島のお菓子まで! もうおなかいっぱい。






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