王が答える
第1回「ウチナンチュとヤマトンチュは結婚できるか?!」


 琉球大4年のY君がこんな悩みを寄せた。「僕はキリ短の子と 付き合っていて、結婚を考えています。先日初めて 彼女の家に行ったのですが、ナイチャーとは結婚させんと お父さんからいきなり言われました。意味がよくわかりません。 僕はこれからどうしたらいいんでしょうか」


 おぬし動揺しておるな。な〜に、よくあることじゃ。
 何を隠そう(別に隠していないか)、ワシはヤマトンチュで、 ワシの妻は南風原町出身のウチナンチュじゃ。そう、おぬしと同じ パターンよ。だから参考になるぞ。よく聞け。

 あれは婚約前のことじゃった。ワシの妻(もちろん当時は独身じゃ)が 父親に「本土の人と結婚する」ことを伝えたのじゃが、それを 聞いて、彼女の父親は何と言ったと思うね?! ひとこと、「ナイチャーかぁ」。

 「ヤマトンチュ」と違って、「ナイチャー」にはやや侮蔑の意味が あることくらいは、おぬしも知っておるな。いやしくも王に向かって その「ナイチャー」という単語を使い、しかも「かぁ」と嘆いた のじゃ。「かぁかぁ」とカラスみたいに言うなとワシは言いたかったが、 相手は恐るべき父親じゃ。そんなことは言えん。

 残念じゃが、沖縄ではかつて「本土の人間」はあまり好かれておらんかった。 なぜだと思うね? 約400年前には薩摩藩が当時の琉球王国を攻めておる。 約120年前には明治政府が沖縄県を強引に設置した。決定的に なったのが、約55年前の太平洋戦争じゃ。沖縄が地上戦に巻き込まれ、日本軍が 沖縄の住民をスパイ視して虐殺した事件があっちゃこっちゃで起きた。 こうしたことがシコリになっておることがあるんじゃ。
 あれは1988年ごろだったか、 沖縄でどこかのばあさんから出身地を聞かれ、「徳島です」と答えたら、 すかさず「赤松大尉と同じ」と言われ、ワシは「うひゃ〜」と ひっくり返った記憶がある。赤松大尉というのは、沖縄戦当時に 住民を虐殺したことで知られる有名人なのじゃ。
 それにしても、面識のないワシに突然そんな話を出すか、普通?

 まぁしかし、そういう記憶が今も 残っておるのが沖縄なんじゃ。手ごわいぞ。 おぬしが彼女の父親の信頼を得るためには、 歴史を復習しておいたほうがよいぞ。

 で さらにどうするか、じゃ。おぬしは沖縄の料理は好きか?  テビチも中味汁も何でも好きなら問題はない。沖縄の料理を ぱくぱく食べる姿を見せれば、「はぁ、このヤマトンチュは珍しいであるさ」と 言って、受け入れてくれる。そう。沖縄の人は本当は優しいんじゃ。
 沖縄の女性と結婚したら、「ウチナームーク(沖縄女性と結婚した婿)」と 呼ばれ、仲間として認定される。そうなったら、もう一人前の沖縄人じゃ。 ちばりょー! 






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